東京地方裁判所 平成3年(ワ)2961号 判決 1993年5月21日
原告
清水威雄
右訴訟代理人弁護士
西内岳
同
木ノ元直樹
被告
窪添保正
外一一名
右一二名訴訟代理人弁護士
長戸路政行
被告
植田節子
外四名
右五名訴訟代理人弁護士
鐘築優
被告
志賀陽夫
右訴訟代理人弁護士
田中和
被告
高木貞子
同
澤口雄二
同
増澤勝仁
主文
一 被告窪添保正は原告に対し、別紙物件目録一六記載の建物から退去し、同目録二及び一七記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明け渡し、平成元年八月三〇日から右土地明渡済みまで一か月金六万八一二〇円の割合による金員を支払え。
二 被告窪添けさ菊、同窪添正道、同柴田和子、同窪添まき子、同川上素子、同宮崎かづ子、同渋谷好子、同飯髙仁子は原告に対し、別紙物件目録二記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明け渡し、平成元年八月三〇日から右土地明渡済みまで一か月金六万八一二〇円の割合による金員を支払え。
三 被告川上素子は原告に対し、別紙物件目録一八記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
四 被告宮崎かづ子は原告に対し、別紙物件目録一一、一二及び二三記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
五 被告窪添テルは原告に対し、別紙物件目録三及び一四記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
六 被告高木貞子は原告に対し、別紙物件目録四記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
七 被告植田節子は原告に対し、別紙物件目録五記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
八 被告志賀陽夫は原告に対し、別紙物件目録六及び二〇記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
九 被告株式会社鹿児島電工は原告に対し、別紙物件目録七ないし九及び一三記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一〇 被告増澤勝仁は原告に対し、別紙物件目録一〇記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一一 被告川上憲夫は原告に対し、別紙物件目録一二及び二二記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一二 被告澤口雄二は原告に対し、別紙物件目録一五記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一三 被告森本秀信は原告に対し、別紙物件目録一九記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一四 被告内海勇次は原告に対し、別紙物件目録二一記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一五 被告飯髙昭榮は原告に対し、別紙物件目録二三記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一六 被告武藏式子は原告に対し、別紙物件目録二五記載の建物から退去して同目録一記載の土地を明け渡せ。
一七 原告のその余の請求を棄却する。
一八 訴訟費用は被告らの負担とする。
事実及び理由
第一請求
一(主位的)
被告窪添保正は原告に対し、別紙物件目録一六記載の建物から退去し、同目録二及び一七記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明け渡し、金六五六万四二八〇円及び平成元年八月三〇日から右土地明渡済みまで一か月金六万八一二〇円の割合による金員を支払え。
(予備的)
被告窪添保正は原告に対し、別紙物件目録一六記載の建物から退去し、同目録二及び一七記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明け渡し、金六八九万三五六〇円及び平成二年一月二五日から右土地明渡済みまで一か月金六万八一二〇円の割合による金員を支払え。
二(主位的)
被告窪添けさ菊、同窪添正道、同柴田和子、同窪添まき子、同川上素子、同宮崎かづ子、同渋谷好子、同飯髙仁子は原告に対し、別紙物件目録二記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明け渡し、金六一六万四二八〇円及び平成元年八月三〇日から右土地明渡済みまで一か月金六万八一二〇円の割合による金員を支払え。
(予備的)
被告窪添けさ菊、同窪添正道、同柴田和子、同窪添まき子、同川上素子、同宮崎かづ子、同渋谷好子、同飯髙仁子は原告に対し、別紙物件目録二記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明け渡し、金六四九万三五六〇円及び平成二年一月二五日から右土地明渡済みまで一か月金六万八一二〇円の割合による金員を支払え。
三主文第三ないし第一六項同旨。
第二事案の概要
本件は、原告が、(1)借地人たる被告らに対し、賃貸借契約の終了に基づき、建物収去土地明渡し並びに延滞賃料及び賃料相当損害金の支払を、(2)被告窪添保正に対し、建物建築の承諾料四〇万円の支払を、(3)被告窪添保正、同川上素子、同宮崎かづ子、同窪添テル、同高木貞子、同植田節子、同志賀陽夫、同株式会社鹿児島電工、同増澤勝仁、同川上憲夫、同澤口雄二、同森本秀信、同内海勇次、同飯髙昭榮、同武藏式子に対し、土地所有権に基づき、建物退去土地明渡しを求めた事案である。
一争いのない事実
1 原告は訴外窪添正彌(以下「亡正彌」という。)に対し、昭和二二年一二月一日ころ、その所有にかかる別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)を、期間二〇年、賃料一か月二九円二八銭、毎月当月分を末日払の約で、貸し渡した(以下「本件賃貸借契約」という)。ただし、被告らは、本件土地は、原告所有の六四番の二のほか元訴外高根菊明所有の六四番の三を含むものである旨主張している。
その際、亡正彌は原告から、その所有にかかる本件土地上の別紙物件目録二記載の建物を買い受けた。
2(1) 亡正彌は、昭和二三年一二月九日死亡し、その妻である被告窪添けさ菊、子である被告窪添正道、同柴田和子、同窪添まき子、同窪添保正、同川上素子、同宮崎かづ子及び訴外宮崎満朗が同人を相続した。訴外宮崎満朗は、昭和四九年一二月二六日死亡し、その妻である被告渋谷好子、子である飯髙仁子が同人を相続した(以下「借地人たる被告ら」という)。
(2) 借地人たる被告らは、別紙物件目録二記載の建物を所有し、本件土地を占有している。
(3) 被告窪添保正は、昭和五一年三月八日、本件土地上に、別紙物件目録一七の建物を建築して所有し、本件土地を占有している。
3 被告窪添テルは、別紙物件目録三及び一四記載の建物を、同高木貞子は同目録四記載の建物を、同植田節子は同目録五記載の建物を、同志賀陽夫は同目録六及び二〇記載の建物を、同株式会社鹿児島電工は同目録七ないし九及び一三記載の建物を、同増澤勝仁は同目録一〇記載の建物を、同川上憲夫は同目録一二及び二二記載の建物を、同澤口雄二は同目録一五記載の建物を、同窪添保正は同目録一六記載の建物を、同川上素子は同目録一八記載の建物を、同森本秀信は同目録一九記載の建物を、同内海勇次は同目録二一記載の建物を、同飯髙昭榮は同目録二三記載の建物を、同宮崎かづ子は同目録一一、一二及び二三記載の建物を、同武藏式子は同目録二五記載の建物を、それぞれ使用占有し、本件土地を占有している。
4 借地人たる被告らは原告に対し、昭和五七年一月分から同年一二月分まで及び昭和五八年二月から平成元年六月分までの賃料を支払わなかった。
5 借地人たる被告らは、賃料として、平成二年二月一日、六五一万九七二三円、同年同月五日、七八万五一二〇円、承諾料として、同年六月一四日、四〇万円を供託した。
二原告の主張
1 原告は、(1)借地人たる被告らの代理人である被告窪添テルに対し、(2)しからずとしても、表見代理人(民法一〇九条、一一〇条、一一二条)である被告窪添テルに対し、本件賃貸借契約の賃料を、昭和五七年五月一日以降一か月六万〇〇四〇円から六万八一二〇円に増額する旨の意思表示をした(右意思表示は、そのころ、同被告に到達した)。
2 被告窪添保正は原告に対し、前記一2(3)の建築に際し、四〇万円の承諾料を支払う旨約した。
3 原告は、借地人たる被告らが昭和五七年一月分から同年一二月分まで及び昭和五八年二月から平成元年六月分までの賃料を支払わなかったので、(1)借地人たる被告らの代理人である被告窪添テルに対し、(2)しからずとしても、表見代理人(民法一〇九条、一一〇条、一一二条)である被告窪添テルに対し、平成元年七月二五日到達の書面により、滞納賃料の支払を催告し、同年八月二九日をもって留置期間の満了した書面により、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
なお、本件賃貸借契約には、無催告解除の特約があった。
4 更に、原告は、予備的に、(1)被告窪添保正に対し、平成元年七月二五日到達の書面により、滞納賃料の支払を催告し、同年八月二九日到達の書面により、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、(2)被告川上素子(平成元年九月一〇日到達)、同宮崎かづ子(同年九月一四日到達)、同窪添けさ菊(同年一〇月一四日到達)、同窪添正道(同年一〇月二〇日到達)、同柴田和子(同年一〇月一四日到達)及び窪添まき子(同年一一月五日到達)に対し、二〇日以内に滞納賃料の支払のなきことを条件として、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、(3)被告渋谷好子(平成二年一月二四日到達)及び飯髙仁子(同日到達)に対し、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
三被告らの主張
1 被告窪添テルは原告に対し、昭和六三年九月二二日、滞納賃料四〇〇万円を提供したが、原告は受領を拒否した。
2 原告は、昭和五七年一月分から平成元年六月分(昭和五八年一月分を除く)までの六五五万〇四六〇円の支払を催告しているが、右請求は、その間になされた増額請求がいずれも有効であることを前提とするものであり、著しく過大催告である(原告が請求し得た滞納賃料は、四八一万九四三九円である。)
3 被告窪添保正は、原告からの解除通知(平成二年一月二九日到達)を受け取り、前記一5記載のとおり供託した。
4 以上の経緯であるから、借地人たる被告らの賃料不払は信頼関係を破壊するものではなく、解除は無効である。
四1 被告高木貞子、同澤口雄二は、適式な呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書等も提出しなかったから、請求原因事実を自白したものと見做す。
2 被告増澤勝仁は、公示送達による呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書等も提出しなかったものであるところ、同被告に対する請求は、証拠上明らかに理由がある(<書証番号略>、原告)。
五主たる争点
(主位的主張の関係)
1 原告が被告窪添テルに対してなした賃料増額の意思表示は有効か。
(1) 被告窪添テルに借地人たる被告らを代理する権限があったか。
(2) 被告窪添テルは、借地人たる被告らの表見代理人といえるか。
2 原告が被告窪添テルに対してなした解除は有効か。
(1) 被告窪添テルに借地人たる被告らを代理する権限があったか。
(2)被告窪添テルは、借地人たる被告らの表見代理人といえるか。
(3) 解除の意思表示は被告窪添テルに到達したといえるか。
3 本件賃貸借契約の信頼関係は破壊されたといえるか。
① 滞納賃料の受領拒絶の有無。
② 被告窪添テルに対する催告は有効か。
4 被告窪添保正に承諾料支払の義務があるか。
(予備的主張の関係)
5 原告が借地人たる被告らに対してなした解除は有効か(無催告解除は有効か)。
第三争点に対する判断
一争点1(賃料請求について)
原告は、被告窪添テルに対し本件賃貸借契約の賃料を、昭和五七年五月一日から一か月六万八一二〇円に増額する旨の意思表示をしたと主張するが、右意思表示が、そのころまでに被告窪添テルに到達したと認めるに足る証拠はない。しかしながら、証拠によると、原告と被告窪添保正は、昭和五八年一月三〇日、本件賃貸借契約の賃料を、昭和五七年五月一日から一か月六万〇〇四〇円から六万八一二〇円とする旨合意したものと認められる(<書証番号略>、被告窪添保正、原告)。
したがって、問題は、被告窪添保正にそのような権限があったか否かであるが、後述するように、同被告の母親である被告窪添テルは、本件土地の賃借権の維持、管理等につき借地人たる被告らを代理する権限を有していたものと認められるところ、被告窪添保正は、被告窪添テルの復代理人として原告との交渉にあたったものというべきであるから、前記合意は有効である。
そうすると、借地人たる被告らは原告に対し、昭和五七年一月分から同年四月末日までの間一か月六万〇〇四〇円、同年五月一日から平成元年八月二九日までの間(ただし、支払済みの昭和五八年一月分は除く。)一か月六万八一二〇円の未払賃料を支払うべき義務があることになるが、借地人たる被告らは、原告の本件における請求額を超える金額を供託している(前記第二の一4)から、原告の請求のうち賃料請求は理由がない。
二争点2(被告窪添テルに対してなした解除の効力)について
1 被告窪添テルの権限の有無について検討する。
証拠(<書証番号略>、被告窪添テル、同窪添保正、同川上素子、同窪添正道、原告)によると、(1)被告窪添テルは、亡正彌が昭和二三年一二月九日に死亡して以来、本件土地の賃料の支払はもとより、賃料の増額、建物の新築等の交渉、賃借範囲の確定等にあたってきたこと、(2)亡正彌の共同相続人であり賃借人たる被告らは、本件土地の賃借権が亡正彌の遺産であることを知りながら、自らは賃借人として果たすべきなんらの義務も果していないこと、(3)そして、賃借人たる被告らは、被告窪添テルの子である被告らはもとより、その余の被告らにおいても、被告窪添テルが被告らに代わり、約四〇年の長きにわたり本件土地の賃借権の維持、管理にあたってきたことを知りながら、なんらの異議も申し立てていないこと、が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない(被告窪添正道は、被告窪添テルが本件土地を占拠してしまったようなものであると述べているが、このことは、被告窪添テルの子以外の被告らにおいて、被告窪添テルが本件土地の賃借権の維持、管理等を全て行っていることを知っていたことを物語るものである。)。
右事実によると、借地人たる被告らは、被告窪添テルが本件土地の賃借権の維持、管理をなすことに異存がなく、同被告をして、本件土地の賃料の支払、賃料の増額の交渉にあたらせていたと認めるのが相当である。借地人たる被告らのうち被告窪添テルの子でない被告らにおいては、被告窪添テルが本件土地の賃借権の利益を全て享受していることには異論があり、いずれは自らの権利を主張したいとの考えを持っていたものもあるであろうが、差し当り、被告窪添テルが、自らに代わり、本件土地の賃借権の維持、管理をなすことに格別異存があったとは認め難い。借地人たる被告らは、被告窪添テルに対し、本件土地の賃借権の処分する権限は与えていなかったにせよ、本件賃貸借契約に関し、賃貸人である原告と交渉する権限を、黙示的にせよ与えていたものというべきである。そうでなければ、借地人たる被告らは、賃借人としての義務を全て放擲していたことになろう。したがって、被告窪添テルには、賃貸人である原告がなした賃料支払の催告及び解除の意思表示を受領する権限があったと認められる。
2 解除の意思表示の到達の有無について検討する。
原告が平成元年八月一五日付でなした解除の意思表示の内容証明郵便は、被告窪添テルが不在であったため、郵便局に留置されていたが、同被告が取りに来ないので、所定の留置期間の一〇日が経過した同月二九日の経過により原告に返還されたものと認められる(<書証番号略>)。
ところで、内容証明郵便が名宛人の不在により受領されない場合、郵便配達員は不在配達通知書を名宛人方に差し置き、その受領を可能にしているものであるから、右内容証明郵便は、特段の事情がない限り、留置期間の満了により名宛人に到達したと解するのが相当であるが、本件各証拠によるも、被告窪添テルが右内容証明郵便を受領しなかったことにつき特段の事情があったとは認め難い。むしろ、被告窪添テルは、右内容証明郵便が出される二〇日前に賃料の支払を催告する書面を受け取っている(<書証番号略>)から、同被告の原告に対する敵対的な態度(被告窪添テル)に鑑みると、同被告は、あえて右内容証明郵便の受領に赴かなかったとみられる事案である。
三争点3(信頼関係の破壊)について検討する。
1 被告らは、被告窪添テルが原告に対し、昭和六三年九月二二日、未払賃料の四〇〇万円を提供したが、原告はその受領を拒絶したと主張する。被告窪添テル、同窪添保正及び同川上素子の供述は、被告らの主張に副うものあるが、これらの供述は、微妙な食い違い(被告窪添保正は被告窪添テルに対し、その年の三月ころ、五〇〇万円を渡したというが、被告川上素子は、被告窪添保正が被告窪添テルに渡したのは、二〇〇万円と二〇〇万円の合計四〇〇万円であったとすること等)があるうえ、不自然さがあること、昭和六三年の時点において、それまで頑なに賃料の支払を拒んでいた被告窪添テルが、突如賃料を原告方に持参するに至ったことにつき納得できる説明がないこと、右時点において、被告窪添テルが主張の金額を持参しておれば、原告において喜んでこれを受領していたと思われる(<書証番号略>)こと、原告は、被告窪添テルが未払賃料の一部を持参したのは、平成元年九月二二日ころであると述べていること、等に照らすと措信し難く、他に被告らの主張を認めるに足る証拠はない。
2 被告らは、原告のなした催告は過大催告であるから、効力がないと主張するが、被告らの主張に従うと、四八一万九四三九円を請求すべきところ、六五五万〇六四〇円を請求していることになるが、原告の請求は法外なものではないうえ、未払期間も正確に特定されていること等に鑑みると、原告のなした催告の効力に問題はないとみるべきである。
3 そうすると、賃貸人と賃借人間の信頼関係は、長期間にわたる賃料の不払により完全に破壊されたことになる(被告らがいうところの賃料を支払わなかった事情は、いずれも賃料の不払を理由あらしめるものではない。)から、本件賃貸借契約は、平成元年八月二九日の経過をもって解除されたものと認められる。なお、原告は被告窪添テルに対し、平成元年七月二五日到達の書面により催告をしているから、前記認定に反し、被告ら主張のように、被告窪添テルが昭和六三年九月二二日に滞納賃料の提供をしていたとしても、結論に変わりはない。
四争点4(承諾料の支払義務)について
被告窪添保正が原告に対し、本件土地上に建物を新築するに際し、承諾料の支払を約した事実は、証拠上明らかである(<書証番号略>)ところ、右請求権は時効は、昭和五八年一月三〇日、承認により中断したものと認められる(<書証番号略>)。
そうすると、被告窪添保正は原告に対し、承諾料四〇万円の支払義務があることになるが、同被告は、同金額を供託している(前記第二の一4)から、原告の請求のうち承諾料の請求は理由がない。
五以上によると、原告の請求は、未払賃料六一六万四二八〇円及び承諾料四〇万円の請求を除きいずれも理由があるから、主文のとおり判決する(なお、仮執行宣言は相当でないからこれを付さない)。
(裁判官佐藤嘉彦)
別紙物件目録<省略>